戒名があるから、個人の匂いがしますけれど
いずれは無名の世界に帰っていく
こんにちは。とむらいマンです。
家の仏壇の中に位牌が納まらずに困っている!
という人いませんか?
そもそも、亡くなった人は、
49日でホトケとなり、33年でカミになる
と、考えられていました。
ですから、亡くなった人に個別に名前を与えて個性をつけて供養するのは、33年で一応おしまいなのです。
33年も経つと、供養する子どもの代もやがては亡くなり、
故人は時間をかけてゆっくる忘れ去られていくのです。
三十三回忌のことを「弔い上げ」や「問い切り」と呼びますが、
個別の位牌は33年経つとお寺に引き取ってもらいます。
こうして死者は無個性化していき、村の山や森に還って、氏神として祀られていきます。
さて、こうした流れを知らないお家では、古い位牌がずっとずっと仏壇の中に置かれている。
子孫たちも、自分のご先祖様の戒名を指差して、
「これ、だれ?」
なんて仏壇屋に聞いたりするわけです(こちらに聞かれても分からない)。
そして多くの方がこの問題でこう悩んでおられます。
仏壇からあふれんばかりの位牌、どうしたらいいの?
そんな、古いご先祖様をまとめる便利な位牌があります。
先祖代々之位牌
古い先祖をひとまとめにする「先祖代々之位牌」と彫刻した物を一つ作っておきましょう。
そうすると、33年経った位牌は処分され、お性根をこちらの位牌に移してもらえます。
しかし、ひとつの位牌に次々と古いご先祖様の名前を個別に刻むことはできないでしょう。
スペース的に無理がある。
そこで便利なのが繰り出し位牌。↓↓
縦に8~10枚の木札が納められる作りになっていて、扉を開く木札に書かれた戒名が拝めるという優れものです。
さらには、過去帳位牌というものまで。↓↓
これは繰り出し位牌と同じ構造で、中に過去帳を納めるものです。
過去帳とは、亡くなった人の戒名や命日などを書き込んで置く帳面。
こうして古いご先祖様の記録を、スペースを使うことなく仏壇の中に残しておくことができます。
ただし、繰り出し位牌や過去帳位牌を用意する際は、まず先にお寺様に相談しましょう。
位牌は死者の霊が宿る、とても大切な仏具です。
仏具というか、死者そのものです。
そして供養をしてくださるのはまさにお寺様ですからね。
ちなみに、民俗学者の谷川健一さん(詩人の谷川俊太郎さんのお父さん)の『日本人の魂のゆくえ』の中に、とても分かりやすく「問い切り」について書いてありますので、最後に引用しますよ。
生者は死者が自分にうるさく供養を要求するのが面倒くさいんですね。それで「問い切り」という現金な言い方をして死者を無名の魂に帰すんです。その前は戒名があるので、個人の匂いがしますけれど、いずれは無名の世界に帰っていく。つまり、仏から神になる。
谷川健一『日本人の魂のゆくえ』
とむらいマン
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