「画像引用元:ワーナー・ブラザーズ公式サイト」
クリストファー・ノーラン監督のSF超大作『インターステラー』。
2014年の公開から10年が経ち、期間限定で全国52劇場でリバイバル上映が行われました。
ぼくが鑑賞したのは、109シネマズ大阪エキスポシティ。国内に2カ所しかないビル6階建ての高さを誇るIMAXの大迫力スクリーン。その巨大な映像と音響は、まるで宇宙に放り出されたかのような臨場感を生み出し、壮大な物語が改めて心を揺さぶりました。
そして、映画史に残るであろう、あの本棚のシーンを観ながら、こう思ったのです。
「この本棚。まるで仏壇じゃないか…」と。
この記事では、『インターステラー』の最重要シーンである本棚と、仏壇の共通点について語ります。
(※ネタバレを含む内容なので、未視聴の方はご注意ください!)
テサラクトと本棚:5次元空間の秘密
『インターステラー』の冒頭で、主人公クーパーの娘・マーフの部屋で起きるポルターガイスト現象(特異現象)。本棚の本が勝手に落ちるこのシーンが、物語の最終盤へと見事につながります。
実は、この本棚を動かしていたのは、宇宙の最果て、星の彼方にいる未来の父・クーパーでした。ブラックホールの特異点を抜けて「5次元空間=テサラクト」に入り込んだ彼が、重力波を使って過去の娘にメッセージを送っていたのです。
5次元空間とは、時間を一方向に進むのではなく、過去や未来を行き来できる不思議な世界。この設定は最先端の物理学に基づいており、科学と空想が見事に融合した映画史に残るシーンです。
映画とは、3次元空間に生きるぼくたち人間が、2次元という平面に映し出す映像作品です。その中で、人類が未だ経験したことのない5次元空間の表現にトライし、見事に観客の心を鷲掴みにしたクリストファー・ノーラン監督の手腕とスケールには、ただただ称賛を贈りたいです。
特に本棚のシーンでは、あちこちからすすり泣きの声が聞こえたし(ぼくも泣いた)、終演後には自然発生的に拍手が起こっていました。
仏壇の裏側で、誰かが語り掛けている
さて、ここで仏壇の話に戻します。
仏壇は、亡くなった人と生きている人をつなぐための窓口です。
クーパーが本棚を通じて娘にメッセージを送ったように、仏壇もまた、あの世からの愛を伝える役割を果たしているのかもしれません。
『インターステラー』の本棚は、まるで仏壇のようです。
仏壇の前で手を合わせていると、ローソクの炎が揺らいだり、線香の煙がふわりと舞ったりすることがありますよね。科学的に言えば、炎や煙の揺らぎは空気の流れや熱によるものです。ですが、これらの現象を前にして、
「ローソクの炎が揺らいでいる。ご先祖さまが喜んでくれているのかな」
「線香の煙がまっすぐ上がると、こちらの想いが届いている気がする」
…と感じる人は、意外に少なくありません。
マーフの部屋で起きたポルターガイストは、テサラクトで必死に叫び、本棚を叩く父・クーパーの重力波によるものでした。そう考えると、ローソクや線香の揺らぎも、もしかすると、死者やご先祖さまからのメッセージなのかもしれません。
クーパーが本棚を叩き、砂を動かし、時計の針を必死に操る姿。それは愛する娘への想いを、次元を超えて伝えようとする行為そのものでした。
なぜ本棚なのか。それはそこに本棚があったからです。もしも食器棚があったなら、クーパーは食器を叩き割ったでしょうし、洋服箪笥があったなら、洋服を散らかしまくったのでしょう。
本棚は本を並べる目的に作られています。でも、仏壇はそもそも大切な人とつながり、メッセージを伝え合うために作られています。仏壇を持つことで、時間や空間を飛び越えて、日常的に大切な人とつながれるのです。
ご先祖さまや仏さまも、次元を超えて、仏壇の裏側からぼくたちに何かを伝えようとしているのかもしれません。
宗教と科学はアプローチは違えど、「愛は次元を超える」という真実に行き着きます。『インターステラー』が描いた壮大な物語は、仏壇の前でぼくたちが感じる不思議なつながりを、科学的に可視化してくれたのです。
愛は次元を超える。『インターステラー』の本棚は仏壇だ
『インターステラー』の本棚は、仏壇と同じ役割を果たしているのかもしれません。大切な人と次元を超えてつながるための扉です。
映画を観た方は、ぜひとも仏壇の前で手を合わせてみてください。
仏壇がない人は、お墓でも、お寺でも、神社でも、大切な人の写真や形見でも構いません。
炎や煙の揺らぎに、そこから伝わる空気の震えに、あなたに注がれる愛を感じられるかもしれません。
愛は次元を超える。
そしてぼくたち人間は、次元を超えても、大切な人とつながっていたい。
そう思わずにはいられない生き物のようです。
おすすめ解説ブログ&動画
『インターステラー』は、物理学の基礎知識がないと、ちょっと難解です。
ぼくも初見の時は意味が分からず、視聴後にたくさんの解説ブログや動画を観て、やっと理解できました。
ブログはこちらが分かりやすい↓
動画は圧倒的に「たてはま」さん。ぼくも大変お世話になりました↓
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