おばあちゃんはここにいる。ひゃくぱー僕を見てくれている-vol2 ヒカルさん(33歳・会社員)

『30代よ 死を語れ!』第2回目はヒカルさんです。

会社員として働くヒカルさんの中には常に「がんばれ」と応援してくれてる祖父母がいると言います。

普段あまり考えることのない死について、そこから両親や先祖のつながり、さらには伝統文化の継承にまで話は及んで行きました。

ご実家の仏壇を前にして、30代が死生観を語ります。

亡くなった人のおかげで遠く離れた人たちが集まれる

とむらいマン(以下:とむ) 今日はよろしくお願いいたします。

ヒカルさん よろしくお願いいたします。

とむ 普段死について考えますか?

ヒカルさん 考えないですね。でも、いつかは死ぬんだろうなとは思ってますよ。

とむ これまでに大きな病気は?

ヒカルさん 特にないです。

とむ 家族や親戚を亡くされたことは?

ヒカルさん 高校の時がはじめてで、叔母を亡くしました。つぎに27歳の時に父方の祖母、30歳になる手前で母方の祖父、さらに翌年に叔父を亡くしました。

とむ お葬式が続いた時期があったんですね。はじめて葬儀に参列したときにどんなことを感じましたか?

ヒカルさん うーん。悲しいかったですよ。もちろん。

とむ 法事では親戚の人たちが集まりますよね? 親戚が集まる場所は苦手?

ヒカルさん ぜんぜん大丈夫です。前の葬儀でも大阪の親戚たちと久しぶりに会って、ものすごく盛り上がりました。

ヒカルさん 亡くなった人には申し訳ないですけど、その人のおかげで、遠く離れている人たちが集まれるんですね。

とむ そうですね。

ヒカルさん そういうのって大切だと思うし、そういう機会があるから会えるし、うん、また会いたいなと思いますね。

おばあちゃんは、ここにいる

とむ おうちにお仏壇がありますが、毎日手を合わせてますか?

ヒカルさん 100%毎日ではないですが、結構やってます。

とむ 手を合わすときに、何を想いますか?

ヒカルさん 「いつもありがとうね」「がんばるね」と。

とむ 具体的にだれをのことを想いますか?

ヒカルさん おばあちゃんです。

とむ ”おばあちゃん子”だったんですか?

ヒカルさん どっちの祖父母ともよくしてくれたが、ここのお仏壇の場合だとおばあちゃんオンリーになってます。たしかに、ふだんはそんなこと意識なんてしてないですけど、言われてみれば、「おばあちゃんがいる」って感じです。

とむ なぜおばあちゃん? そこをぐっと考えてみてもらえます?

ヒカルさん うーん。そこに遺骨があるからかな?

とむ おばあちゃんとの思い出、なにかありますか?

ヒカルさん いっつも僕のことを応援してくれてました。優しい人でほんとによくしてくれた。よく遊んでくれた。小さい時にはおんぶもだっこもしてくれた。そして、いつも僕のことを応援してくれていました。そのイメージしかないです。受験、野球。勉強、なんでも。「がんばれ!」って。

とむ いっしょに住んでたんですか?

ヒカルさん いっしょに住んだことはないです。

とむ ということは、おばあちゃんが亡くなるまで、つまり27歳まではお仏壇のない家だったということですか?

ヒカルさん そうです。

とむ へー。それはすごいですね。というのは、これはあくまでも傾向ですけど、仏壇屋さんとして働いていると分かるんですが、仏壇のないおうちに育った人の多くは、手を合わす習慣があまりないんですよ。

ヒカルさん へー。

とむ でも、ヒカルさんは自然とご先祖さまに手を合わせてるみたいですね。

ヒカルさん はい。自然に。

とむ そのへん、なんか思いつく理由はありますか?

ヒカルさん んー。母の実家に帰ると仏壇があるので、子供のころは祖父母の見よう見まねで木魚鳴らして、ちんちん鳴らして遊んでたし、手を合わすじいちゃんとばあちゃんのうしろ姿を見てきた。念仏のようなものを言ってたのも見てる。だから、仏壇そのものは身近には感じてましたね。

とむ 年に何回くらい帰省されてたんですか?

ヒカルさん 子どものころは夏休みとかに何週間と帰ってましたよ。学生の頃も。ぼく田舎が好きなんで。

とむ じゃあ、物心ついたころから、仏壇やお墓に手を合わせてたんですね。

ヒカルさん そうですね。普通にしてました。先祖に感謝するっていう感じ、それしかないですね。

とむ 仏壇がない家に生まれ育ってるのに、それはすてきだなあ。ご両親の影響?

ヒカルさん それもあるし、おじいちゃんおばあちゃんから受け継いだものじゃないでしょうか。その姿を見てきたんで。

とむ 核家族社会だと、どうしても、3世代で暮らすことがないですけど、ヒカルさんの場合は、家族や先祖がとっても身近ですね。

ヒカルさん はい。そうですね。だって、おばあちゃんはここにいますからね。というか、そこ(仏壇)がそれを意識する場所なんでしょうね。

とむ 仏壇から離れた時におじいさんやおばあさんはどんな感じでヒカルさんの中におられますか?

ヒカルさん シチュエーションにもよるけど・・・頑張ろうかなと思った時とかに思い出しますね。ほんとに「がんばれ」「がんばりや」と言われてきたんで。仕事でしんどい時とかに、いつもそのことばを思い出す。応援してくれてるんですよ。多分いまでも。

神さま仏さまに「お願いしゃーす!」

とむ 神社やお寺には古いご先祖様がいますが、好きですか?

ヒカルさん めっちゃ行きます!

とむ めっちゃ行く!?

ヒカルさん はい。めっちゃ行きます。

とむ 好きな神社はありますか?

ヒカルさん 島根の出雲大社。好きです。神聖ですよね。旅行に行くと必ずその近くの神社にお参りしますね。長野の諏訪大社とかもよかったです。

とむ 神社のどういうところが好きですか?

ヒカルさん 神聖で新鮮。神聖な場所に入ることで心が新鮮な気持ちになります。家の近くの神社にも行きます。5円玉をポケットに入れて、お賽銭箱に入れて、しゃらんしゃらんって、鐘をならして・・・。

とむ 日本人は祭が好きですけど、参加されてます?

ヒカルさん 子どものころは。この地域は秋祭りがさかんで。小学生のころは家から神社まで神輿に乗って太鼓叩いてました。

とむ 祭って伝統文化じゃないですか。受け継がれるものなんです。人がどんなにがんばって生きてもせいぜい80年。そのわずかな命をつないだ先に伝統がある。伝統が好きというのは、無意識のうちに自分たちより前に生きた人へのリスペクトがあるように思います。

ヒカルさん なるほど。

とむ 神仏はいると思いますか?

ヒカルさん いると思います。

とむ 神様はどんな方ですか?

ヒカルさん あはははは(なぜか笑うヒカルさん) まんがの中のイメージしかないですね。

とむ ドラゴンボール? 聖おにいさん?

ヒカルさん いやいや。こんな感じですかね(と、鴨居にかけられている仏画を指さす) 大仏とか、そんな感じなのかなあ、あんまり考えたことないですね。

伊勢で買ったという仏画

とむ いつも心の中では神頼みしてますか?

ヒカルさん 神頼みは、、、特にしてないですね。神社でも仏壇でも、「お願いしゃーす」みたいな感じですよ(笑)

とむ お寺も行きますか?

ヒカルさん 大好きですね。清水寺、善光寺、あと京都の鈴虫寺とかいいですね。面白い説法が聞けるお寺で、鈴虫が一年中鳴いている。その時のお坊さんの説法も、「いつなにがあるかわからないからその時その時を大切に」みたいなこと話してましたね。

ご先祖さまは、ひゃくぱー僕を見てくれている

とむ ヒカルさんの中で死後の世界ってありますか?

ヒカルさん わかんないけど、天国とか地獄とかって話してるってことは、あるものとして話してるんじゃないですか?

とむ ヒカルさんの実感としてはどうですか? 

ヒカルさん うーん・・・

とむ ・・・

ヒカルさん ・・・

とむ 質問代えますね。自分が死んだあとってどうなると思います?

ヒカルさん うーん・・・

とむ ・・・

ヒカルさん ・・・ 全部、なくなる? 無になる、かな。

とむ なるほどです。ではですね、ヒカルさんのおばあさんは、亡くなったあとどうなりました?

ヒカルさん どっかで必ずこっちを見てくれてますね

とむ おじいさんやおじさんたちも?

ヒカルさん みんなそうですね。ひゃくぱー(100%)そうですね。

とむ その根拠はどこから来ていますか?

ヒカルさん うーん。分からないです。分からないですけど、でも、ひゃくぱーそうなんですよね。

前の世代が築き上げてきたものや、築き上げている姿を見ていないとね

とむ なかなか死について話すことってしないと思うんですけど、ここまで死について考えることは珍しいですか?

ヒカルさん 酔っぱらった時とかはあるかもしれませんが(笑)、こうして真剣に話すことはないですね。

とむ いかがでした?

ヒカルさん 楽しいか楽しくないかでいうと楽しいですし、自分がこう考えているんだなと気づくきっかけになりました。考える機会をいただきました。自分の頭の中で考えてても、言語化しないから、いつもふわーって流れていっちゃう。

とむ ご両親は60歳くらいですよね。まだまだお元気。介護や見取りなどの将来のことは考えてます?

ヒカルさん 親のことはまだ考えてないですね。ふたりとも元気だから。むしろ、高齢の祖父母のことを考えてます。

とむ 私たちが亡くなる時は、こうしてほしい、ああしてほしいと、話すことはありますか?

ヒカルさん いまはまだないですね。

とむ でも、ヒカルさんの中では脈々と、親、祖父母、ご先祖さまのいのちが流れてるように感じます。

ヒカルさん そうですね。文化とかもそうだと思うんですけど、受け継いでいくって大切ですよね。核家族化の話じゃないけど、自分たちより前の世代が築き上げてきたものや、築き上げている姿を見ていないとね。受け継ぐことって難しい。畳も火もそうじゃないですか。

とむ 畳? 火?

ヒカルさん そうです。いまは洋間の住宅が多い。畳だって使わなくなったらその気持ちよさが分からない。いまの家はオール電化が多いから、その家で育った子どもは火が熱いことすら知らない。仏壇や神仏のことも含めて、文化って受け継いでいくことが大切なんだなと、改めて思いましたね。親から受け継がれていくものなんじゃないかと。

とむ 伝統って結局、人がつないできたものですもんね。人が続けば文化も続き、伝統となる。ただそれが伝統としての価値を持って生き延びるには、先人たちへのリスペクトがあるかないか、ここが大事ですよね。

ヒカルさん はい。

とむ ヒカルさんのように、いつもおじいちゃんおばあちゃんをリスペクトしている。ご先祖さまや神仏に「ありがとうございます」って言っている。これが大事なんだと思いますよ。

ヒカルさん やっぱ、その習慣は親や祖父母からだと思います。父方も母方も、みんなお墓や仏壇を大事にしてたし。だから、私の妹たちも同じような感じで、手を合わせてますね。

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