お経をオンラインで? このように聞いてみなさんはどう思われますか?
ここ最近、オンラインによる読経配信が熱く、これがなかなか素敵なので、今日はその魅力を語ります。
弔いの再定義 リアルで会うだけが弔いじゃない
「弔う」の語源は「訪ひ」。
つまり、人が人に会いに行くことなのです。
亡くなった人に会いに行くこと。これが弔いです。
あるいは遺された家族の元に駆けつけてともに故人の悲しみを共有する。これだって弔いでしょう。
僕はこれまでずっと、「会いに行くこと」=「その人がいる場所まで駆けつけること」だと思っていました。これからも、そこんところは変わらないはず。
だけど、新型コロナウイルスが猛威を振るういまの日本では、「その人がいる場所まで駆けつけること」すら許されないし、かえってそれが故人や家族のためにならないことだってあります。
前回のブログでも書きましたが、葬儀や法事に人が集まることでクラスター(集団感染)が起きてしまった場合、「だれが一番悲しむか」。これを考えなければならない。
そう。間違いなく故人さまが一番悲しむのです。
前回ブログはこちらから↓↓
コロナショックは、僕たちの生き方や社会の仕組みをグググッと変えていくきっかけになると言われていますが、それは、死に方や弔い方についても同じ。
その中で、「弔い」も再定義しなければならない局面に来ているのだと、ものすごく強く感じています。
なぜなら、この世界はもうすでに、人と人とが対面しなくても、「会う」ことができるからです。
そう。インターネットの力です。
これまでエンディング業界ではネットを介した商品やサービスが続々と登場していましたが、それは人の弔いの心にまで響くものではありませんでした。
たとえばAmazonの「お坊さん便」。
マッチングはオンラインでも、最後の最後ではお坊さんと家族がリアルで対面していたわけです。
「小さなお葬式」だって、結局は地元の葬儀社がやってきてお葬式を取り仕切ってくれるわけです。
葬儀には、遺体の火葬という、そして法要には、遺骨の埋葬という。遺体や遺骨という「現物」の取り扱いが伴います。
だから葬儀や法要は完全にオンラインというわけにはいかず、ごく身内の家族は葬儀会館や火葬場に出向かなければなりません。
しかし、人の心に響いて寄り添う弔いの「想い」は、オンラインでも充分に行き交っています。
オンラインでゲームをして、オンラインで恋愛をして、オンラインで飲み会を開く今日この頃。
祈りだって、弔いだって、ぜんぜんオンラインなのです。
葬儀の完全オンライン化は難しいにしても、寺院の読経のオンライン配信はもうすでに活発になっており、これがなかなか悪くない。
心が疲れた時。落ち着いた空気の中で自分自身を見つめ直したい時。亡き人を思い出したい時。
手の中のスマホから聞こえてくる読経は、きっとあなたの祈りに寄り添ってくれるでしょう。
西正寺 朝夕のおつとめ
兵庫県尼崎市にある西正寺さんは、毎朝毎夕のおつとめをライブ配信しています。
僕は毎朝7時前後にスマホを触る習慣があるのですが、必ず西正寺さんのおつとめがTLから流れてくる。
お寺の本堂で行われる読経というのは、思いのほか、こちらをおごそかな気持ちにさせてくれるものです。
重く響く鐘の音。本堂に行き渡るお坊さんの読経の声。毎朝これを聞けるだけで、心を整えて1日を始められる気がします。
毎朝同じ時間にスマホの中から、普段はお寺に行かないと触れることのないお経の世界を味わえるなんて、なんと贅沢なことでしょうか。
興味ある方はぜひともFacebookでフォローしてみてください。
西正寺Facebook↓↓
オンライン数珠つなぎ読経
日本全国のいろんな宗派のお坊さんが、オンラインで読経をリレー。
いろんな宗派の読経、いろんなお坊さんの声に触れることができ、オンラインでも僕たちはつながっているのだと実感できるところがなんともすばらしい。
4月4日に始まった試みはなんと第3回までを終了。
※この記事を書いている本日4月24日には第4回が開催されます。11:30〜19:00。
お寺の日常である「おつとめ」を日本全国オンラインでつなげるだけでこんなにも大きな力に変わるだなんて、静かな驚きと感動があります。
オンライン数珠つなぎ読経 第4回配信 ↓↓
主催者の唐溪悦子(からたに えつこ)さんのnote ↓↓
この他にも、魅力あふれるオンラインでの読経配信がありましたら、どんどんこちらに追記して、ページを更新していきます!
お経は、この世の幸福やあの世の冥福を祈ることばです。
それを、1000年以上もの長い年月をかけて、人々の心に届くよう、独特の抑揚や節回しが伝承されてきています。
あらゆる時代の人々の苦しみに寄り添ってきた仏教のお経。
長く続いてきたものの力が、インターネットテクノロジーの乗って、私たちをやさしく癒しに来てくれるようです。
とむらいマン
※アイキャッチ画像は、「オンライン数珠つなぎ読経」のFacebookページより借用させていただきました。
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