仏壇で瞑想のススメ|仏壇カタルシス#4

仏壇は、故人さまを供養し、ご先祖さまとのつながりを感じ、仏さまに守られる場所です。

でも、仏壇の活かし方って他にもたくさんあると思っていて、そのうちのひとつが、瞑想です。

今日は、「仏壇の前で瞑想して、心と体を落ち着けてみませんか?」というお話です。

※筆者は瞑想のコーディネーターでも何者でもないただの素人です。そんな筆者のひとつの提案として読んで頂ければ幸いです。

瞑想の効果

じっと座り、目を閉じて、自らの呼吸に意識を集中させる瞑想。次のようなメリットがあると言われています。

  • 不眠解消・睡眠の質の向上
  • 集中力のアップ
  • ストレスや不安の解消
  • 感情コントロール力アップ

…などなど、いいことづくめの瞑想。

ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、ユヴァル・ノア・ハラリ、イチローなど、国内外の著名人も積極的に瞑想を取り入れていることで知られています。

瞑想の方法

瞑想にもいろいろな方法があるようですが、基本的には…

「なにも考えずにポカーンと座ること」
「自分の呼吸に意識を集中させること」

…これでいいのではないかと思っています。

ヴィパッサナー瞑想

お釈迦様が悟りを開かれていた時にしていた瞑想が「ヴィパッサナー瞑想」です。おそらくもっともポピュラーな瞑想方法ではないでしょうか。目の前の、そして自身の心の中で起きている事象をありのままに観る、判断をせずに客観的に観ることを実践します。

筆者は、月に一度、お寺の坐禅会に参加しているのですが、そこでは、姿勢を調え、呼吸を調え、自分の心の中から湧き出てくるさまざまな情念や雑念の、その湧き出てくるさまをただ観察するだけです。

「あの仕事、来週までに終わらせなきゃいけないなー」
「あいつに会うの、いやだなー」
「パレスチナとイスラエルの紛争はどうなるのかなー?」
「おととい駅前で見かけたあの女性、かわいかったなー」
「鼻の先がかゆいなー」

…などと、それはまあいろんな考えや下心みたいなものがポコポコ湧き出てくるのですが、それをただ観察する。これを1時間するだけで、坐禅を終えたあとというのは、頭の中、心の中、身体全体がめっちゃくちゃスッキリします。

禅のことばに「調身、調息、調心」というものがありますが、まさに身を調え、呼吸を調うと、心も調ってくることを体感できます。

イメージ瞑想

対象物を目の前に置いたり、心の中にイメージして行う瞑想です。

真言密教の「阿字観瞑想」(大日如来を表す梵字「ア」を想念する瞑想法)や「月輪観」(月をイメージする瞑想法)、浄土教の日想観(西に沈む夕日を見ながら行う瞑想法)などがこれに含まれます。

マントラ瞑想

マントラとは「真言」のこと。神仏に祈りを捧げることばを唱えながら行う瞑想のことです。

インドで古くから唱えられているマントラに「オーム」(ありのまま、過去・現在・未来の意味)や「シャンティ」(平和、安定の意味)があります。

また密教ではさまざまな仏さまの真言があります。(大日如来の「オン・アビラウンケン・ソワカ」や不動明王の「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン」など)。浄土教では「南無阿弥陀仏」、日蓮系の教えでは「南無妙法蓮華経」を唱えますが、こうしたお念仏やお題目を延々唱えることにも瞑想効果があるのかもしれませんね。

仏壇で瞑想がおススメの理由

瞑想には心を落ち着ける効果がある。そしてその方法もさまざまだと。

そこまでのことは分かりましたが、それでは、どうして仏壇の前での瞑想がおススメなのか、その理由をいくつかご紹介しますね。

仏壇は、心を落ち着けられるホーリープレイス

瞑想って、すぐにどこでもできるものです。場所さえあれば、あぐらをかいて、目を閉じて、深呼吸するだけでできます。実際に立ったままの瞑想や、歩きながらの瞑想というものもあるようですね。

とはいえ、なんにもない場でいきなり瞑想って、やっぱりむずかしいですよね。それなりに、心を落ち着けられる静かな環境が求められます。

お釈迦様が菩提樹の木の下を選んだように、公園や海辺など、静かなところを選びたいものですが、公共の場所でいきなりあぐらを組んで瞑想するというのも、なかなか勇気がいる。

じゃあ、「家の中で静かな場所ってどこだろう?」となった時に、お仏壇を提案したいのです。

伝統的な日本家屋には仏間がありました。これって、よくよく考えるとものすごく意義深いことで、心を静かに落ち着けられるホーリープレイス(聖域)がおうちの中にあるようなものなんです。

でも、近年の住宅の多くには仏間という、心を落ち着けられる癒し空間がありません。であるならば、仏壇と向きあって瞑想をしてみてほしいのです。

仮にそこが居間やリビングだとしても、視線の先には、故人さま、ご先祖さま、仏さまがいてくれている。自然と心が落ち着いて、瞑想モードにスイッチを切り替えられるのではないかと思うのです。

仏壇は、時空間を超える

これは、少し前のブログでも書きましたが、仏壇って、時空間を超えられるすごい場所なんです。

仏壇の中にいる仏さまや故人さまは「あの世」の世界の存在ですし、ご先祖さまはぼくたちが生まれるはるか昔に生きた存在です。そうした存在と自分が、いまここでつながっていることを家の中にいながら実感できるのが仏壇です。

「自分は自分一人じゃないんだ」「ご先祖さまと重なり合っている」「仏さまとつながっているんだ」ということを可視化してくれているのが仏壇です。

瞑想とは、自身と向き合い、ありのままの自身を観察する営みですが、仏壇を前にすることでその「自身」のスケールがグッと大きくなります。

スケールが広がり、視野が大きくなることで、目の前の苦しみや捉われがちっぽけなものに感じられ、ストレスや不安が軽減しやすくなるはずです。

仏壇には、ローソクの灯りとお香の香りがある

家の中でただポカーンと座る時に有効なのが、ローソクの炎のゆらぎと、お香の香りです。

ローソクの灯りにリラクゼーション効果があることはすでにさまざまな場所で語られています。お線香の香りもしかりです。これらが、あなたの瞑想体験をグッと深いものにしてくれます。

家の中には、いろんななものがゴチャゴチャ置かれています。テレビ、スマホ、食べ物、雑貨、置物、メモ、アイドルのポスター、孫が描いた似顔絵などなど…。

瞑想をする時には、このようないわゆる「世俗的」なものから距離をとることが大切です。でないと、いろんなものが視界に入ってきて、自身の呼吸や情念に意識を向けづらいからです。

仏間のない現代の住宅では、居間やリビングに仏壇が置かれています。そこにローソクを灯し、香を焚き、そして目を閉じて、亡き家族とともに、自らの呼吸に集中してみることで、より次元の深い瞑想になるのではないでしょうか。

気づいてたら、瞑想になってた⁉

そして最後にお伝えしたいのは、瞑想だ、リラクゼーションだ、マインドフルネスだなどと、細かいことを考えずに、一日に数秒、数分でいいので、お仏壇の前で、何も考えずに、ポカーンと座ってみてほしい、ということです。

ぼくたちは、本当に毎日が忙しい。家事に、仕事に、学校に、人間関係に、本当に忙しい。隙間時間だって、スマホから、いろんな刺激的な情報や物語や広告があふれ出て、それらに囚われて、自分を見失いがちです。

だからこそ、何にもしない、何にも考えない、ポカーンとする時間が大事なんです。

何も考えずに、仏壇の中の故人さま、ご先祖さまに手を合わせて、そしてポカーンとしてみましょう。

日々あたりまえに行っているお仏壇への礼拝の中に、じつは瞑想の効果があったことに気づけるはずです。

仏壇だと、イメージ瞑想がすぐにできちゃいます(仏壇の中には、ご本尊や位牌など、目に見える対象物がある)。

さらに、マントラ瞑想だってすぐにできちゃいます(仏教には、真言、念仏、お題目などがある)。

仏壇が家にあるということは、故人さまの供養のためであるどころか、あなたのリラクゼーション効果のためでもあるんです。

まずは、亡き家族に、ご先祖さまに、仏さまに、「おはよう」「ただいま」「こんなことあったよ」と手を合わせてみましょう。

そしてしばらく、ポカーンとする。

すでにそれが、あなたの心身をリラックスさせてくれる瞑想だったのです。


仏壇カタルシスとは…

仏壇店に勤務するライター・玉川将人が、
インド仏教最高指導者・佐々井秀嶺師からの…

あなたが仏壇の本を書きなさい。
ここにいる人たちの力を借りて
ここにいる人たちのために
本を書きなさい。

…という宿題を成しとげるべく、仏壇にまつわるお話を語っていきます。
あなたの力を貸して下さい。あなたのためのことばを綴ります。

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